新生児について

生まれたばかりの赤ちゃんの特徴

赤ちゃんは長い間お母さんのお腹の中にいて、そこは暗い水の中で、栄養や酸素はへその緒を通してお母さんからもらってきました。外へ出たからには全て自分でやらなくてはいけないので、赤ちゃんは精一杯がんばっています。生まれて一週間ぐらいは、お母さんのお腹の中とは違う外の世界に慣れようとする時期です。

1. 空気呼吸をはじめます

(1) うぶ声は大切な肺ふくらまし

子宮内にいたときには、へその緒を通じてお母さんの胎盤から酸素をもらっていた赤ちゃんは、生まれた瞬間から自分で空気を吸い込んで酸素を取り入れなければならなくなります。それまで水でふくらませてきた肺を、生まれた瞬間にその水をはき出して空気に置き換えるのです。肺をしっかりふくらませるために、息を吸ってはそれをはき出さないように息づめをします。それが泣くということになるのです。うぶ声は、このように赤ちゃんが一所懸命に空気呼吸をはじめたことなのです。  
 一旦ふくらんだ肺も、時々しっかりふくらませないとしぼんでしまいます。大人は無意識に深呼吸をしていますが、それが出来ない赤ちゃんは、泣いたり、いきんだりして肺のふくらみをまもります。赤ちゃんが真っ赤になっていきんでも心配しないでください。

(2) にぎやかな鼻

赤ちゃんは、もっぱら鼻を使って呼吸します。一分間に50回近くの呼吸をしますので、鼻の穴を激しい勢いで空気が出入りします。しかも、吸った空気を湿らせるために、いわば加湿器として鼻みずをたくさん出します。このため、鼻音がぶーぶーいったり、くしゃみをしたり、鼻みずや鼻くそが出たり、鼻は大変にぎやかになります。鼻かぜをひいたと思わないでください。元気におっぱいを飲めていれば心配いりません。綿棒をつっこんだりしないでください。鼻みずを吸ったり、ティッシュでふき取ったりくらいがよいでしょう。長い間横に寝かせておくと、鼻粘膜はむくんで苦しくなります。鼻がふがふがいったら、ちょっと抱き起こすのがよい方法です。

(3) 心臓周辺の血液の流れが変わります。

 胎児期には肺呼吸を行っていませんので、肺に行く血液は心臓内の壁の孔やバイパス血管を通して大動脈に流れています。生まれて呼吸をすると、肺への血液が必要になり、これらの孔やバイパス路が閉鎖します。この閉鎖を確認することが大切です。一ヶ月健診は必ず受けましょう。

2. おっぱいを飲みはじめます

(1) 生まれてからの赤ちゃんは、自分でおっぱいを飲んで成長しなければならなくなります。お母さんのお腹の中にいる時には、胃や腸は動いていません。生まれて呼吸をすると同時に、胃や腸にもたくさんの空気が入ります。いわば空気を食べるのです。この食べた空気が胃や腸を動かしてゆきます。胎便という、黒くてねっとりとした便がどんどん出てしまうと、胃や腸の動きは活発となって乳の吸収を促すのです。

(2) 赤ちゃんなりにお産の疲れもあります。胃や腸の動きのこともあります。そんなわけで1~2日間は、ぐいぐいとはおっぱいを飲めないし、飲まなくてもよいのです。お母さんのおっぱいも2~3日してから出てくるようになります。そのため、お母さんは生まれてくる赤ちゃんにたっぷりの栄養と水分を持たせてあげているのです。誕生する我が子にお弁当と水筒の水を持たせているわけです。赤ちゃんは数日この栄養を使って生活しますから、だんだん体重が減ってくるわけです。3日目くらいになって、お母さんのおっぱいが出始めたら、たくさん飲んで体重を増やしましょう。

(3) 最初の1~2ヶ月は、腎臓や肝臓の機能がまだ未熟なので、栄養分や水分がいちどきに大量に入ったり、または長い間空腹であったりすることに耐えられません。この時期の赤ちゃんは、少量でもよいから回数多くおっぱいを飲みたいのです。

(4) 母乳の初乳中には免疫グロブリンという物質がたくさん含まれています。これを赤ちゃんが飲み込むと、小腸の壁にまるでペンキを塗ったように貼りついた状態となり、ばい菌などが入ってくると溶かしてしまいます。母乳中にはずっとこの免疫グロブリンが分泌されます。こうやって抵抗力の弱い赤ちゃんの身体をまもってくれるのです。

3. 肌あれが出るかもしれません

 長い間羊水という水につかっていた赤ちゃんが、急に空気世界におどりでることとなるので、その皮膚は一種の乾燥性皮膚炎みたいな状態になることがよくあります。あかくただれたり、ぽちぽちと盛り上がった発疹を作ったり、皮むけしたりします。
 特に、予定日頃を境として一皮むけてきて、まるで脱皮状態になることがよくあります。やがてこれは自然にきれいになり、ビロードのような柔らかい皮膚が出てきます。このような皮膚の変化は生理的なことですので心配はいりません。雑菌に負けないように、お湯で洗って清潔にしておくことが大切です。

4. 黄疸が出てきます

(1) 生まれてしばらくすると皮膚が黄色くなってきます。これを新生児黄疸と呼んでいますが、程度の差はあれ、全ての赤ちゃんに見られます。黄疸の黄色い色はどこからくるのでしょうか?これは赤血球が老化して破壊された色素なのです。大人は、このいらなくなった色素は肝臓に運ばれて、グルクロン酸という酵素が結びついて十二指腸液となって便に捨てられています。胎児期には肝臓がまったく仕事をしていませんでしたから、生まれてから急いで酵素を作り始めます。その時間のギャップがあるので、ビリルビンが血液中にたまって、皮膚に染みついて黄色く見えるのです。

(2) 黄疸はだれにでもあらわれるのですが、何らかの原因で黄疸があまりに強くなると脳神経細胞に障害を与えることがあります。ですから、黄疸が正常に経過することをしっかりと見届けたいのです。このために血液検査をしたり、時には正常範囲をまもるために、予防的に光を当てる治療を行うこともあります。

5. 退院後の通院について

 前の項で述べたように、赤ちゃんの黄疸がはっきりと下がるまで見届けたい場合があります。黄疸のピークは生後4日から7日のことが多いので、退院後も黄疸の経過観察に通っていただくこともしばしばあります。
 また、生後4日目には、先天性の代謝異常症やホルモンの異常症を見出すための血液検査を行います。これらの疾患も発育や発達に影響するものなので早期発見に努めるわけです。ところが生まれたばかりの赤ちゃんでは、これらの検査値がまだ不安定で、判断に迷うことがしばしばあります。このようなときには再検査することになりますので、生後10日前後に再検査のためご来院をお願いすることがあります。
 このように、退院されてからも当院での診療が継続することがありますので、しばらくの間は通院できる体制をおとりくださいますようお願いいたします。

6. 入院中の面会について

 病棟には多くの妊産婦様と生まれたばかりの赤ちゃんが入院されています。 母子ともに分娩前後の疲労を癒し、感染に対する予防を行わなければなりません。
 また、外来にも多くの妊産婦様がいらっしゃいます。
ご面会の訪問は、原則ご家族のみとさせていただき、お知り合いの方々にはご遠慮 くださいますようお願いいたします。
 特に小さなお子様連れの方には、感染予防のためご面会を見合わせてくださいますようご協力をお願いいたします。

「こんにちは、赤ちゃん」

竹内豊著:こんにちは、赤ちゃん

お配りしている「こんにちは、赤ちゃん」(当院小児科部長 竹内豊著)内の生まれたばかりの時期の赤ちゃんについてより詳しい内容をPDFでご確認いただけます。

I. 赤ちゃんの不思議(16.6MB)

II. 赤ちゃんとのつきあいかた(赤ちゃんからのお願い)(5.4MB)